Tuesday, October 30, 2007

ツボの本を買っても効かない理由


「私、神経痛だからここのツボがいいって本に書いてあった。ここを治療して下さい。」という方が時々いるが、そのツボを使って有効だったことは少ない。私も鍼灸学校出たての頃、良くツボの本を買い、「風邪の時はここのツボを使うんだと。成る程成る程・・・」とやってみたが思ったほど効果がなかった記憶がある。理由はこうだ。例えば風邪一つとっても鼻水、咳、喉の痛み、発熱、悪寒、頭痛と症状は多岐にわたり、風邪の引きはじめや治りかけでは全く症状が違う。ツボの本は全てツボで説明しているから、何々の症状には何処のツボという書き方である。試しに10冊ぐらいのツボの本で風邪に効くツボを調べると、30位のツボの名前が出てくる。一辺にこんなに使えないから一番効くいいツボを教えてくれということ気持ちになってくる。最近は風邪一つとっても人間の身体の変化が手に取るようにわかるから、症状毎にここのツボと使い分けているが、それを素人の方が出来るわけがない。咳が止まらないのですが何処のツボが良いのですかという気持ちはわかるが、身体の状態によって頭のツボを使ったり、手のツボを使ったり、胸のツボを使ったりこちらは身体を読んでツボを決定しているので何とも答えようがない。それを本を買ってきて、風邪に効く3つの厳選したツボとやってみても、効いたのはたまたまでしょうと言いたくなる。神経痛でも腰で治療する場合、胃を治療する場合、骨格をいじる場合、脚の反応点をいじる場合、関節から治療する場合とこんなにも方法が違うのかというぐらいやり方が違う。我々はプロだからそこを見抜いて的確に治療するわけだが、それを本の知識でやってみても全部がうまくいくとは思えない。

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